ピアノを始めた理由は、意外と軽かった
「ピアノを習わせてみようか。」
我が家がそう思ったのは、息子がまだ小さかった頃でした。
きっかけは、とても単純なものでした。
「ピアノは脳に良いらしい。」
「指先を使うし、子どもの習い事にはいいんじゃないか。」
今振り返っても、最初から音楽家を目指していたわけではありません。
音楽一家でもありません。
もちろん、家に立派なグランドピアノがあったわけでもありません。
むしろ、我が家にとってピアノは、ごく普通の習い事の一つでした。
最初に買ったのは、2万円台の電子ピアノ
そして最初に我が家が購入したのが、
2万円台の電子ピアノでした。
今でこそ「2万円台の電子ピアノ」と書けますが、当時の我が家にとって、2万円は決して小さな金額ではありませんでした。
「子どもの習い事に、2万円か……」
そんな感覚だったと思います。
それでも、息子が楽しんでくれるなら。
そして、少しでもピアノが弾けるようになれば。
そんな気持ちで購入しました。
まさかその数年後、
「200万円台のグランドピアノを買う」
なんてことになるとは、この時の私たちは想像もしていませんでした。
もちろん、息子自身もそうです。
「ピアニストになりたい」
そんなことを考えていたわけではありません。
ただ、ピアノを習って、少しずつ弾けるようになっていく。
最初は、それだけでした。
息子は、他の子どもと比べて、ピアノが特別に上手かったわけではありません。
指がものすごく速く動くわけでもない。
難しい曲をどんどん弾けるわけでもない。
「絶対に続けた方がいい」と言われた日
ふと、息子のピアノを聴いていると、
「なんだろう。遊びで弾いている音とは少し違うな」
と感じることがありました。
ただ、それが何なのか、私たちにはよく分かりませんでした。
「もしかしたら、この子には何かあるのかな?」
そんな程度の、漠然とした感覚です。
そんな中、小学校3年生の頃、学校の発表会で「真夜中の火祭り」という曲を弾く機会がありました。
その演奏を聴いてくれた友人のお母さんから、こんな言葉をかけてもらいました。
「すごいね。絶対に続けた方がいいよ。」
親としては、もちろん嬉しかったです。
でも、それ以上に、少し驚きました。
「ああ、やっぱりそうなのかな。」
それまで自分たちが何となく感じていたことを、初めて別の人から言葉にしてもらったような気がしたのです。
小学校4年生、ピアノが「習い事」ではなくなった
この頃から、息子のピアノへの向き合い方が少しずつ変わっていきました。
それまでは、どこか「習い事の一つ」という感覚だったと思います。
もちろん、練習はしていました。
でも、小学校4年生になる頃から、少しずつ本格的な曲にも取り組むようになり、コンクールにも挑戦するようになりました。
親としても、
「もしかしたら、この子にはピアノで何かあるのかもしれない。」
そんなことを、少しずつ考えるようになっていきました。
とはいっても、まだこの時点では、将来ピアニストになるなんて考えていません。
ただ、あの日の言葉をきっかけに、
「もう少し、この子のピアノを見てみよう。」
そんな気持ちになっていきました。
そして、ピアノに本気で向き合うようになるにつれて、私たち親にも新しい悩みが出てきました。
「これから先、誰に教えてもらうのか。」
ということです。
この子をもっと伸ばしてくれる先生を探した
それまでの先生方には、本当に感謝しています。
それぞれの先生にピアノを教えていただき、息子の成長を支えてもらいました。
ただ、息子が少しずつ本格的にピアノへ向き合うようになるにつれて、
「この子の良さを、もっと伸ばしてくれる先生はいないだろうか。」
そんなことを考えるようになっていきました。
親としては、技術を伸ばしてくれる先生を探したい。
でも、それだけではありません。
息子が持っているものを大切にしながら、さらに成長させてくれる先生。
そんな先生に出会えたらと思っていました。
そんな中、ある先生との出会いにつながる出来事がありました。
運命の先生との出会い
それは、息子のピアノの先生を変えることを考えていた頃のことでした。
それまでにも、何人かの先生にピアノを教えていただいていました。
どの先生にも、それぞれの良さがありました。
ただ、息子が少しずつ本格的にピアノへ向き合うようになるにつれて、
「この子には、どんな先生が合うんだろう。」
そんなことを、親として考えるようになっていました。
技術をしっかり教えてくれる先生がいい。
でも、それだけではない。
息子が持っている音楽性を大切にしながら、さらに伸ばしてくれる先生に出会えたら。
そんな思いがありました。
実は、私たちが最初から今の先生を目指していたわけではありません。
別の先生を探していた中で、思いがけず、その先生の名前を知ることになりました。
最初にホームページを見たときの印象は、
「ちょっと怖そうな先生だな。」
正直、そんな印象でした。
以前、息子は先生から厳しい言葉をかけられたことで、ピアノに対して少し心を閉ざしてしまったことがありました。
だからこそ、
「また厳しい先生だったら大丈夫かな。」
という心配もありました。
それでも、実際に一度、レッスンを受けてみることにしました。
このときはまだ、私たちも知りませんでした。
この先生との出会いが、息子のピアノ人生を大きく変えることになるとは。